お客様との立場は対等だけど、忘れちゃいけないただひとつの事実

サービス提供者とお客様の立場は対等です。商品やサービスに不備があった際、返品を受け付けたり、新しい商品と交換したり、もしくは料金を頂かない(返金)という対応をすることはありますが、「値引き」という対応が基本的にNGなのは、立場が対等だからです。

値引きがNGな理由

例えば、映画館で上映中の映画が機械トラブルにより途中で見られなくなってしまった。これは、最低限のサービスを受けられていないので、返金もしくは次回の上映時間に変更していただくなどの対応がふさわしいでしょう。

ただ、映画の残り時間が3分でした。「残り時間がごく僅かだったので200円だけ返金します」と言われて、納得するでしょうか? 納得出来ないという方がほとんどだと思います。チケット代が1000円とするならば、実質800円の値引き対応ですが、値引きというのはサービス責任者の気分次第なので人が変われば値引き額も変動します。だからすごく怒っているお客様には9割引、ちょっとしか怒っていないお客様には半額引にしたり……ということが起こりうるのです。これでは立場が対等とは言えませんよね。お客様との立場を対等と言いながら、お客様Aとお客様Bの値引き額が違うのは、おかしな話です。

もし、お客様に贔屓の事実が伝わってしまえば、不信感が生まれ、クレームや不買運動に繋がるかもしれません。このようなことがないようにお客様に対して、もっと言うならばすべてのお客様に対して、対等の立場を意識していくことが必要なのです。

と言っても実際のところは、値引きするよりも、値引きさせられるケースのほうが多いでしょう。これも同じく、立場が対等である以上、お断りしてください。

お客様だからと言って、なんでも主張して良いわけではないし、すべての主張を受け入れる必要はないのです。それは立場が対等だからということに尽きます。

立場は対等。ただし、ひとつだけ不利なことがある

さて、ここでようやく本題に入りますが、ここまでの内容は言われなくても理解していたという方は多少いらっしゃるでしょう。

ただ、理解している人こそ、勘違いしていることがあります。それは「クレームなんて突っぱねてもいい」という考え。

これは大きな誤りです。我々、サービス提供者とお客様の立場は確かに対等です。しかし、絶対に忘れてはいけないのは、「お客様は我々のサービスや商品を利用しなくても生きていける」ということです。他社のサービスや商品を使ったり、最悪使わなくても生きていけます。

それに対して、サービス提供者はお客様にサービスや商品を利用して頂かない限り、事業を存続できません。お客様との立場は対等ですが、生存条件に関しては圧倒的に不利な状況下に置かれているので、それを踏まえた上で、クレーム対応をする必要があるのです。クレームを無視することは死に関わる行為と言っても過言ではありません。

クレームは元来、有り難いものです。問題点を教えて頂けるのですから、改善を徹底すればより良いサービスの提供につながります。それを面倒くさいという理由などで、突っぱねたりするのは極めて危険で軽率な行為であることを自認しておく必要があるでしょう。

私自身、飲食業に携わっています。どこで見たデータか忘れましたが、日本にある飲食店の数は67万店舗にも及ぶそうです。67万店舗のうちのたったひとつである私どもの店舗を選んでくれたこと。これを奇跡的と言わずして何というのでしょうか。クレーム対応は嫌だという気持ちも分かりますが、お客様から対価を頂き、そこから給料が出ていることを自覚すれば、”謙虚な気持ちで対応する意味”は見えてくるはずです。