【コインチェック】一日でふたつの会見を見た感想【はれのひ】

26日は濃い一日だと思いました。成人式前に雲隠れした着付け業者の「はれのひ」と、国内最大級の仮想通貨取引所「コインチェック」がサイバー攻撃を受け、約580億相当の顧客の資産(仮想通貨NEM)が盗まれたとして、それぞれ謝罪会見を行いました。

自分自身、普段からクレーム対応を行う機会が多く、「謝罪する」というのは身近なことであります。こうした背景もありますし、コインチェックに至っては仮想通貨であるXRPを同サービスで保有していたので、この二つの謝罪会見をなおさら深く見ておりました。

本記事をご覧頂く上での注意点

私は、クレーム対応のプロでなければ、謝罪のプロでもありません。
ただただお客様にとって誠意を感じる謝罪を研究し、日々改善を重ねてクレーム対応を行っている一責任者です。

このようなわたくしから申し上げておきたいのは、大前提として100%の人に通用する謝罪というのは存在しないということです。

人の数だけ感性がありますから、どれだけ申し訳ないと思っている本音からの謝罪でも、誠意を感じるか感じないのかというのは結局のところ各個人次第であります。

この事実についてはもちろん納得頂けると思いますが、大事なことなので、敢えて書かせていただきました。

本記事は、わたくし個人の感想であり、それ以上それ以下でもありません。皆様が会見をご覧になって感じたことこそがすべてだと思っております。

これらを踏まえた上でご覧を頂かないと、言いがかりとも受け取られてしまう恐れのある表現を使っておりますので、十分お気をつけください。悪意があっての表現ではないことをあらかじめ申し上げておきます。

はれのひ会見

台本流し読みははっきり言ってクソ

篠崎社長の会見は、はっきり言ってクソだと思いました。

まず、弁護士の方が負債状況などの説明をしたあと、篠崎社長が経緯の説明と謝罪をしたのですが、ほぼ台本を見ながらの説明と謝罪になっていたところが最高にクソでした。

これは台本を見ちゃいけないとか、見るなと言っているのではありません。ただ、流し読みをしている印象を受け、誠意ある謝罪という感じは一切してこなかったというのが正直な感想。

篠崎社長は読むトーンを一定に保っていて、抑揚が無いのです。そして噛まない。噛まないのは、アナウンサーなら褒められるかもしれませんが、謝罪の場面では台本を強く意識させてしまうため、かえって悪い印象すら持たせてしまうものです。あえて噛む必要は一切ありませんが、その場で自ら考えて言葉を出そうとしたのなら、多少は考え込んだり噛むはずですからね。実際、後の記者からの質問時にはそういった場面も見受けられましたから。

最初から台本に頼ろうとする気満々に感じたのではっきり言ってクソだと思いました。

「まあ」の多用にイラッとした

記者からの質問に答えているときですが、ここは台本がないので、「えー」とか「あの…」とかという戸惑いや噛んでいる様子があり、質問に自ら考え出して答えようとしている必死さは伝わってきました。「えー」「あの…」というのは大いに結構なことで不快感は一切ありませんでした。

ただ気になったのは「まあ」というつぶやきです。正直イラッとしました。

「まあ」というのは、「まあこれくらいいいでしょ」とか「まあ許してよ」といったとき、いわば開き直るときに使う言葉です。

篠崎社長はこれを会見時にこれを多用しており、「言い訳をしようとしてるんだろうな」とか「開き直っているんだろうな」という印象を持ちました。本人が実際にそう思っているのかとか、他の人にはそう感じなかったとかはもちろんあるはずですが、少なくとも僕はそう感じたという点についてははっきりとここに記しておきます。

誠意はあまり伝わってこない会見という感じ

上記の二つが主な理由ですが、細かいところを言えば、椅子の背もたれに大きく寄りかかっていたところとかも含めて、全体的に誠意はあまり伝わってこなかった会見だったなと思いました。

じゃあ逆にどこに誠意を感じたのか?。それは「逃げずに会見に出席した」というところだけです。

本人は会見中に逃げてないと言っていましたが、世間からは逃げたと言われても仕方のない行動を取っていましたね。僕はこのままてっきり会見もせずに逃げるつもりだろうと思っていたので、最終的に顔を見せて自ら謝罪の言葉を述べたという点については誠意を感じました。

逆に言えばそれだけでしょうか。嘘を付いているのでは?と、不信感を抱いてしまう会見でした。

コインチェック会見

大塚取締役の応対と説明に精一杯さを感じた

僕はコインチェックにてXRPを保有しており、直接盗難の被害には遭っていないものの、コインチェックの利用者の一人として大きく注目しておりました。

会見は和田社長・大塚取締役・弁護士の三者で行われましたが、主に記者からの質問に答えていたのは大塚取締役です。大塚取締役は、本を出しており、私も実際に読み、非常に勉強させていただきました。

本を出すくらい知識もあり、スキルも実績もある御方が、記者から質問されたとき、言葉に詰まる場面がありました。

とても印象的だったのは、「マルチシグ対応は他の取引所では当たり前にやっている。対応していなかったのはセキュリティが甘かったからでは?」と指摘を受けた場面です。

このとき、大塚取締役は言葉に詰まっていましたが、それはご本人も痛感していたからこそではないでしょうか。仮想通貨業界を引っ張ってこられた第一人者である大塚取締役自身も本心ではセキュリティが甘かったということを認識していたと思います。

ただ、セキュリティが甘いと言い切ってしまうと責任を認めることにもなり得る。ここは謝罪を避ける避けないではなく、本心から思っていることを口にしていただきたかったと思ったので、少し残念です。

*ここまで、実際は大塚取締役が自社に非があることも分かっているはずだという前提で書き進めてきましたが、もちろんあの会見こそが大塚取締役の本心だった可能性もあります。だとすれば、マルチシグ対応とコールドウォレットでの管理の重要性を甘く考えていたということであり、素人からしても有り得ないの一言に尽きます。だからこそ、大塚取締役が自社の非を自認していない訳がないという前提に則って以下も書き進めます。

しかしながら、今ご自身にとって出来ることを全うされたという点では精一杯さを強く感じましたし、好感を持てる応対をされていたなと思いました。

間違いなく、上手い応対です。

和田社長は終始落ち着き、毅然とした態度だった

毅然とした応対をすることはとても大切なことです。ときに記者が痛いところを付いてくる、そして嫌味な言い方で責め立てられることもあります。実際そうした場面も、本会見で見受けられました。

しかし、毅然と望めば、相手は圧倒されます。痛いところを突いてやろうと思っていたのに、全く効かないとなれば、質問側は次に用意していた武器(質問)を使えないので、質問側に戸惑いが生じるのです。

このときに相手は引いたり、こちらにとって答えやすい質問に変わったりすることがあります。自分はなかなかこういった対応はできないので、慣れていらっしゃらない方がこのような落ち着きと毅然とした態度で会見に望めるというのは純粋にすごいと思いました。

ただ気になったのは、これほどの大きな問題を前にしていながら、和田社長ご本人からは大きな問題であると感じられなかった点でしょうか。記者会見なんて屁でもないぞとでも言いたげな表情であったように感じられました。

一部ネット上では、「和田社長は悲壮感が漂った顔をしている」など、どちらかというと自信がない表情であるように受け取られた方も多いようでしたが、ただ、和田社長はしっかりと強い目をしていたんですね。その目は全く泳いでなかった。どちらかと言うと、顧問弁護士の方のほうが目がキョロキョロしており、視点が定まっておらず、動揺していたように感じました。

後日には、自己資金での返金を約束すると発表していることから、和田社長には何か秘策があったのかもしれませんね。だからこそ、動揺をせず、臆することなく対応できたのだと思います。

とは言え、顧客からすれば、事態の大きさを強く痛感していると感じられる表情で望んでほしかったのではないでしょうか。とも思います。謝罪する人の姿勢として毅然とすることは重要ですが、表情や態度にまで毅然とするのはときに逆効果になることもあるので。

全体的にはとてもよかった

会見中は「検討中」という言葉が多用されていました。ここは賛否の別れるところだと思いますが、当日に発生した事態に当日中に会見を開いたのですから、本当に何も決まっていないのは仕方のないことだと思います。

むしろ、社内で何も協議していないにも関わらず、あの会見中に社長の独断で今後の方針を語ったとしても、実際に確約できないことを言ってしまえば更なる不信感につながりますから、そういう意味でもあの対応は良かったと思います。

あと、もう一点。コインチェック社は、自社の責任に関する表現を避け、「お騒がせしたことを深く反省する」などの表現に留まっていましたし、被害者でもあることから、厳密な意味での謝罪会見とは異なると思います。原因が判明していない段階で、明確な謝罪をしてしまうと自社の責任を追求されることになってしまいかねないからでしょう。

ただ。大塚取締役の表情や話し方からは、自責の念が深く伝わってきました。マルチシグへの対応がなかったこと、コールドウォレットで管理していなかったことは少なくとも自社の責任であることは痛感していたのでしょう。立場上、謝罪の言葉を発することを止められており、口にできなかったという背景が推察できそうなくらいには大塚取締役の誠意が伝わってきました。しかしながら、その、ありのままの想いをご本人の口から言って頂けなかったことは唯一残念でしたが。

この会見を見て勉強できたこと、自分自身が今後に活かせそうなこと

100%の人にお許し頂ける謝罪というのは存在しないんだなと、Twitterを見て改めて痛感しています。そんなことは分かりきってはいたのですが、もっと言うならば、90%の人にお許し頂ける謝罪というのもかなりの困難を極めます。不可能ではないのかもしれませんが。

ただ、許しを請う立場としては、90%どころか、やはり100%を目指さないといけないとも思います。

「許してもらう必要はありません」なんて姿勢での謝罪は、許してもらえるわけがないのですから。

 

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